金融商品の会計・税務

2009年12月25日 (金)

デリバティブ取引~みなし決済時の「時価」って?~(後半)

さて、一日間が空いてしまいましたが
今日はデリバティブ取引のお話の続き。


前回、売上取引から生じた外貨建債権について為替予約
(デリバティブ取引)を行った場合で、
帳簿要件を満たしていない場合には期末により時価で決済したものとみなす、という法法61-5の規定が適用されるというお話をしました。

そして、具体的には、予約締結日の各決済日ごとのFRと、
事業年度終了時の各決済日ごとのFRとの差額を「デリバティブ取引未決済損益計上漏れ」として加減算することとなるといいました。


ではなぜそうなるのでしょうか?

キーワードは「貨幣の時間価値」と「裁定取引」です

①いま仮に、一ドル100円の為替が付いていたとします。
円金利は0%、ドル金利はわかりやすいように10%とします

②次にこの100円の一年間の運用を考えます。(これも単純化のため、運用コストは考えません)

以下の2案を考えます。
なお、円の運用ですから、一年後の運用終了時には必ず円通貨に戻さなければいけません。

A案:円のまま保有
B案:100円をドル(=1ドル)に変えて、ドルで運用する

③一年後のキャッシュがどうなるか?
A案の場合:100円のまま
B案の場合:$1 x 1.1 = $1.1
となります。

④一年後に円転することを前提にした場合、
ドル運用の場合は、
現時点で円の先物買予約を入れる必要があります。

ここで登場するのが、FRです。

この場合、A案とB案の投資案は同じ経済価値を持つ必要があるので、
現時点でのFRは100/$1.1 = 90.9円となるはずです。
逆にFRも100円であれば、みんなドルに投資する(円を売ってドルを買う)需要が起こって、
円安ドル高の動き(裁定取引)が起こるはずです。

以上のことから、現在のFRは、金利水準に左右されて決まることがわかります。

ところで、法法61-5では、「事業年度終了の時において決済されていないものがあるときは、
当該時点において決済したものとみなして~」と規定されています。

ではこの場合に比較すべき価格は何か?

当然、決済できる価格ですから、為替予約の「事業年度終了時の時価」となります。

事業年度終了時の先物予約の時価って??
それは、期末におけるFRです。

上の例でいえば、
$1 x 1..05 (=10% x 6 / 12) = $1.05
100円 / $1.05 = 95.23円
が半年後における、一年後決済のFR(現実値ではなく、現在における理論値)です。

半年後を満期にした円投資と外貨投資の経済価値をイコールにするための為替相場ってことです。

上の例が示すとおり、FRは金利水準の差と、満期までの期間によって左右されることになります。
(逆に、究極的にいえば、当然一年後のほんの少し前、例えば一日前の一年後決済日のFRは100円に限りなく近くなります。
今日の百円が明日200円になったら、詐欺だ!!!って思うのと同じことです)

ここまで長々と書いてきましたが、

結論的には同僚に
・もし経理上何も処理をしていないならば、デリバティブとして扱う
・その場合は、約定時FRと期末時FRの差額を、
それぞれの決済日ごとに益金または損金として計上する
という回答をしました

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年12月22日 (火)

デリバティブ取引~みなし決済時の「時価」って?~(前半)

さて、今日は少し税務・金融の専門的な話題

先日会社の同僚から質問を受けた、
デリバティブ取引のみなし決済の適用関係についての質問です


質問:
○○株式会社は海外に対する売上取引から生じた外貨建債権を有しており、
当該債権の為替の変動から生ずる恐れのある損失をヘッジするため、△△銀行と為替予約を結んでいます。

ただし、帳簿要件を満たしていないため、
法法61-6①に規定する繰延ヘッジの適用を取ることはできないものと解されます。

この場合、法法61-5①に規定するみなし決済の規定を適用することになりますが、
具体的にはこの為替予約の益金・損金をどのように計算すればよいでしょうか?


自分の回答:
予約締結日の各決済日ごとのFRと、事業年度終了時の各決済日ごとのFRとの差額を
「デリバティブ取引未決済損益計上漏れ」として加減算

ではなぜそうなるのでしょうか?
キーワードは「貨幣の時間価値」と「裁定取引」です。


詳細は明日のブログでアップいたします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)