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2010年4月20日 (火)

『チェイス~国税査察官~』その2

昨日のブログで取り上げたチェイスの記事の続きです。

チェイス第一回で出てきた節税スキーム、「レバレッジドリース」ですが、本来はこれ、一昔前に大流行した節税スキームです。
詳細は節税の達人の独り言様のブログなぞでご丁寧な解説がされていましたので割愛しますが、日本でもシティバンクあたりがオーナー経営者向けにバンバン販売していたと記憶しています。

(ちょうど自分が勉強を始めた頃のH17年税制改正で節税メリットが大幅になくなる改正がなされたために記憶してるんですね。そういえばこの前後数年は会計でも税務でも、リース関係のスキームは狙い撃ちにされました)

レバレッジドリースがH17年改正以降世の中から消え去ってしまった理由ですが、簡単に言えば、「課税の繰り延べ」が認められなくなったことで、取引のうまみということに尽きます。

もともとこのスキームの妙味は、匿名組合を使って、その組合に多額の借り入れを起こさせて航空機等を購入(ここでシティバンクが登場するわけです。航空機なんて、一機50億とかしますもんね。とても自己資金じゃ買えません)。

匿名組合は法人税の課税主体ではないのでパススルーして出資者である法人に損益が帰属。
法人の場合、減価償却は原則定率法ですから、利益が出そうな事業年度にこれを契約すれば、定率法で償却された航空機の費用がガツンと法人に帰属してくるわけで、利益の圧縮が図れるわけです。

で、H17年の改正はなんだったかというと、法人が「特定組合員」に該当する場合で、組合に損失が生じている場合には、出資者からの出資金として一定の方法により計算した金額を超える損失(「組合等損失超過額」と言います)については、出資者たる法人の損金の額に算入しませんよ、という規定ができました(租法67の12)。

つまり、組合に赤字が出ていても、出資金の範囲内くらいであれば、パススルーして法人の損失として計上してもいいでしょう(だって、組合事業が全部租税回避目的なわけもないですし、利益には課税するのに損失は全部認めないんじゃ酷過ぎるでしょうしね)。でもそれを超えていたら、たぶんその組合が行ってるのはレバレッジドリースみたいな変なスキームなんでしょう。じゃあその損失は取らずに税金をちゃんと払ってください、とまぁこういうところです。

これだけ書くと、この改正は税金を取れるだけとって損失は一切認めないっていう悪魔のような規定にも見えますが、条文上は過去に生じた組合等損失超過額は、その後その組合で利益が出た場合にはその利益と通算していいですよ、という規定も一緒に作られています。

上記のようなスキームが成り立つのは、航空機のような馬鹿でかい減価償却資産を定率法償却する場合、大抵最初の数年間は多額の償却費が計上されることにより赤字になるでしょうという前提を置いているからです。

年を経れば償却費は減っていき、結果として組合事業から利益は上がることが期待されるわけで、契約後初年度、ないし向こう数年間の意図的な課税所得の圧縮を認めさせないためにこのような改正がされたわけです。

、、、
結果として、投資者にうまみのなくなってしまったこの商品の取引は漸減、銀行としてもあまり前面に押し出すことがなくなったということです。今頃になってテレビで登場したのは、おおっぴらに今はやりの節税ネタ(不動産業者と自動販売機、とか)を取り上げると国税庁からクレームが付くことを危惧したんでしょうね。

因みにドラマの設定は確か1998年でしたから、上述のスキームも有効だったわけで、この辺は番組のプロデューサーさんたちも設定にひと汗掻いているようです。

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