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2010年4月 1日 (木)

日本IBM社の取引がH22年税制改正後に行われたらどうなるか?


先日このブログで、日本IBMが4,000億円の申告漏れを税務当局から指摘され、300億円超の追徴を命じられたと紹介しました。

ところで、これと前後して、平成22年度税制改正法案が3月24日の参院本会議で、可決・成立しています

今回の改正において、法人課税で目玉となるものが「グループ法人税制の整備」

この税制では、既にある連結納税制度とは別に、単体納税の法人についても、100%グループ内(税法上、「完全支配関係」と言います)であればその一体性に着目した措置がとられることになりました。

具体的な項目としては、
・譲渡損益の繰延
・受取配当の益金不算入
・寄付金の取扱い
などになります。

では、日本IBMが当該取引をこの税制改正後に行っていたらどうなっていたか?

仮に
・APH社が米IBMから日本IBM社株を1000で購入、日本IBMにこれを100で売却し
・日本IBM社での資本金等の額と利益積立金額の割合が3:7と仮定。
・さらに、先日の「適正な時価での譲渡」云々はここでは考えない(勿論、本来はここが議論のポイントになりますが、譲渡損益の繰延の考え方をわかりやすく説明するため)
とした場合、

APH社では、税務上以下の仕訳が立ちますね。
現金100 / 有価1000
譲渡損970 / みなし配当70

APH社はホールディングカンパニーであり、有価証券の売買を業として行っているわけがないですから、売却した日本IBM株は「譲渡損益調整資産」に該当(まだ政令は出ていませんが、おそらくは連結納税制度の譲渡損益調整資産と対象資産は同じになるものと思われます)。この譲渡損970について、「譲渡損益調整勘定」等の名称で、譲り受け法人において当該株式を譲渡する等一定の事由が生じるまで税務上の課税所得の計算上留保します。

なので先日お話した寄付金云々の議論(APHと日本IBM社の取引は適正な時価か)を行うまでもなく、譲渡損は損金に計上できない⇒APH社で赤字は発生しない⇒連結納税適用後の日本IBM社の黒字との通算も生じないことになります。

ただ、この制度にもいくつか限界があります。

①あくまで上記規定は「留保」規定なので、いずれは認容減算が行われる
②譲り受け法人が他の法人に当該譲渡損益対象資産を譲渡(「2次譲渡」といいます)した場合、譲り受け先がグループ外移転かどうかは問わない 
⇒つまり、上記スキームにもうひとつハコをかませれば、税法上も損金算入が認められてしまう

なお、グループ法人税制についてはこの他にも論点がたくさんありますので、サイトや文献等で色々勉強が必要そうです。

、、、
因みにこの規定(法法61の13)の創設により、連結法人間の譲渡損益の繰延規定(法法81の10)は廃止され、前項に統合されます。

ご存じのように、連結関係の規定はこれまで全て81条に集約されており、「81条のxx」というように枝番での規定が続いていました。
(各事業年度課税は21条-80条の2まで使っていたのに対して、各連結事業年度課税は81条のみで、課税標準の計算から申告納付の規定まで全部賄っていたってことです。注目度の割に、法律上の扱いはずいぶんせまっこいですね。苦笑)

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